商業空間の設計で最も難しいのは、オーナーが言語化できていないブランドの核心を引き出すことです。「おしゃれな感じ」「落ち着いた雰囲気」という言葉は、設計の指針にはなりません。目黒のカフェ「Koke」の設計では、ヒアリングに3回、合計6時間をかけました。

カフェ・ギャラリーの空間設計とブランドの関係

ヒアリングで引き出すべき3つの質問

商業空間の設計ヒアリングで必ず聞く質問が3つあります。「このお店に来てほしいのはどんな人ですか?」「お客様に何を感じてほしいですか?」「10年後もこの空間が好きでいられますか?」この3つの答えが、素材・照明・家具の選定基準になります。抽象的な答えが返ってきたときは、具体的なエピソードを引き出すまで質問を続けます。

素材でブランドの時間軸を表現する

新しい素材は「今」を表現します。古材や経年変化する素材は「時間の積み重ね」を表現します。ブランドが「長く愛される」ことを目指すなら、経年変化する素材を選ぶことが一貫したメッセージになります。「Koke」では、古材の床と越前和紙の壁を組み合わせることで、「時間とともに深まる場所」というブランドの方向性を空間で表現しました。

照明でお客様の行動をデザインする

照明は空間の中でお客様の視線と動線を誘導します。明るい場所には人が集まり、暗い場所は落ち着きをもたらします。カフェの場合、カウンターは明るく、テーブル席は少し暗めにすることで、「見る場所」と「過ごす場所」を自然に分けることができます。「Koke」では全席を調光対応にし、朝の開店時と夜の閉店前で照明の明るさを変えています。

竣工後の空間の育て方

商業空間は竣工後、オーナーが植物・小物・メニューボードなどを加えることで変化していきます。設計段階で「余白」を意図的に残すことが重要です。すべてを埋め尽くした空間は、後から変化させる余地がありません。「Koke」では壁の一部をあえて何も置かない「余白の壁」として設計し、季節ごとに展示物を変えられるようにしました。

商業空間の設計は、オーナーとの対話の質が仕上がりを決めます。カフェやギャラリーの設計を検討している方は、まずヒアリングから始めましょう。初回相談は無料です。